トーグの戦闘をエキサイティングかつ、ドラマティックなものにしているのがドラマカードです。
 プレイヤーはシナリオ開始時に
カードを4枚与えられます。これを『手札』といいます。プレイヤーのカード枚数は推奨行動などによって増減しますが、基本は4枚だと覚えておいてください。通常のシーンでは、手札をいつでも使うことができます。
 戦闘シーンでは、
手札を場札にしてからでないと使うことができません。手札を場札にするには、なんらかの行動をする必要があります。攻撃でも推奨行動でもなんでも構いません。場札になったカードは、いつでも何枚でも使うことができます。

 さて、それでは順を追って、カードの説明をしていきましょう。

能力値を上げるカード

●アドレナリン(16枚)

 『アドレナリン』はキャラクターの火事場の馬鹿力を再現しています。このカードを使用したキャラクターは1ラウンドの間、《敏捷度》か《筋力》か《耐久力》を+3することができます。これにより上記の能力値をベースにした技能の達成値を上昇させることができます。

●ひらめき(16枚)

 『ひらめき』は、アドレナリンと同じく1ラウンドの間、《知力》か《知覚》を+3することができます。

●貫禄(16枚)

 『貫禄』もアドレナリンと同じく1ラウンドの間、《魅力》か《精神力》を+3することができます。

 これらのカードは複数枚を一度に使うことで複数の能力値を上昇させることもできます。

達成値を上げるカード

●アクション(8枚)

 『アクション』カードを使えば、そのラウンド中のすべての行動に+3のボーナスを得ます。「疾風」ラウンドでも、また、『緊急行動』カードによる追加行動中でも行動達成値が上昇します。

●援助(10枚)

 『援助』カードは、他のキャラクターの行動達成値に+3することができます。ただし、プレイヤーはあらかじめゲームマスターにどのような援助をするか説明する必要があります。どのような援助をするのかを説明できない場合、このカードの効果はなくなります。

冒険を有利にするカード

●アイデア(4枚)

 謎や難問に突き当たって冒険に行き詰まった時にこのカードを使えば、ゲームマスターから助言を得ることができます。ゲームマスターは難問に対する適切なヒントや解決策をはっきりとプレイヤーに教えてあげなければならないのです。

●知人(4枚)

 『アイデア』と同じく冒険に行き詰まった時や助けが必要な時にこのカードを使えば、キャラクターの「知人」が現れて助けてくれます。英語版では『コネクション』、つまりキャラクターの人脈を作るカードなのです。

●やり直し(5枚)

 行動に失敗したときにこのカードを使えば、その行動をやり直すことができます。ただし、その行動は自分の失敗に限りますし、他の者が行動をする前でなければなりません。

●警戒(4枚)

 このカードを場札にしておけば、探し物を見つけたり、待ち伏せに気づいたり等、普通なら気づかないことに気づきます。

●計画(6枚)

 このカードを使えば、今捨てたばかりのカードを回収することができます。もし、『計画』カードが使われたのが戦闘中なら、回収したカードはすぐさま場札になります。 

戦闘に役立つカード

●イニシアティブ掌握(4枚)

 このカードには2つの使い方があります。

 1つは、前のラウンドのイニシアティプがキャラクターにとって有利な時に使い、そのアドバンテージをもう1ラウンド継続させることです。ただし、その場合、次のラウンドのカードがめくられる前に使わなければなりません。
 もう1つは、新しいイニシアティブがキャラクターにとって不利な時に使い、カードのひき直しをすることです。

 なお、コアアースのリアリティを持ったキャラクターは、このカードと同じ効果を持つ世界法則『希望の法則』を使うことができます。

●緊急行動(10枚)

 このカードを使えば、その戦闘ラウンド中にもう1回行動することができます。敵の手番・自分の手番に関係なく、カードを使った瞬間に行動することができます。

●敵方失敗(4枚)

 自分のキャラクターに対する敵の行動を失敗させます。これは相手の行動が成功した直後に使わなければなりません。

●逃走(1枚)

 戦闘シーンでこのカードを最初に場札にして使えば、敵との戦闘やチェイスから逃げ出すことができます。

●モノローグ(1枚)

 このカードを使ってセリフを言えば、そのセリフが続いている間、敵はそのセリフに聞き入ってしまい、他の行動がとれなくなります。
 見栄を切ったり、戦闘中に相手を説得するときなどに使えばいいでしょう。

●だめ押し(5枚)

 攻撃のダメージを増加させるカードです。ただし、このカードはあくまでも効果値を上昇させるだけなので、まず、その攻撃を成功させなければなりません。

●奮起(1枚)

 このカードはプレイヤー・キャラクター全員に効果があるカードで、誰かがこのカードを使うと、すべてのプレイヤーは不要な手札を捨てて、新たに山札からカードを引いて手札を4枚にすることができます。まさに奮起の効果があるのです。
 このカードはドラマティックな戦闘などで、役に立たない手札が多い時などに使うといいでしょう。

●リーダーシップ(5枚)

 「情けは人のためならず」のカードです。このカードも手札を交換するカードで、カードを使った者はリーダーシップを発揮して自分の手札や場札を他のプレイヤーに2枚まで与えることができます。カードを与えたプレイヤーは山札からカードを補充し、自分の手札を4枚にすることができます。このとき、不要なカードを捨てることもできます。

 このカードも使用にあたってはロールプレイが必要で、そのキャラクターがどういうリーダーシップを発揮するかを説明できなければ無効となります。

振り足しをするカード

●ヒーロー(10枚)

 『ヒーロー』を使えば、ポシビリティを使ったのと同じく振り足しを行うことができます。さらにこのカードはポシビリティと違って場札になっていれば一度に何枚でも使えるので、より高いボーナスを得ることができます。

●ドラマ(13枚)

 『ヒーロー』と同じくポシビリティと同じ使い方ができるカードです。違うのは、シナリオ終了時に『ドラマ』カードが残っていれば、そのキャラクターには『ドラマ』1枚につき3ポシビリティが与えられるという点です。

サイドストーリー

  『サイドストーリー』カードには7種類あります。これらのカードは、シナリオの本筋とは関係のない、特定のキャラクターを主人公とした挿話を作り出します。しかし、サイドストーリーはあくまでもプレイヤーとゲームマスターの双方の合意の上でのみ成り立ち、ゲームマスターはそのサイドストーリーがシナリオに適切でないと考えれば、プレイヤーに1ポシビリティを与えてそのカードを却下することもできます。
 一方、プレイヤーもサイドストーリーに話を合わせてストーリー展開を面白くする義務があるので、サイドストーリーに協力しないキャラクターはシナリオ終了時の経験ポシビリティが減らされてしまいます。

●仇敵(1枚)

 キャラクターの宿敵が現れて対決します。このカードが使われた場合、ゲームマスターはシナリオ中に宿敵と一対一の対決を行うシーンを用意しなければなりません。

●疑惑(1枚)

 キャラクターに犯罪の疑惑がかかります。キャラクター・ノンプレイヤーキャラクターの別を問わずに疑惑がかけられます。

●個人的利害(1枚)

 シナリオに登場するノンプレイヤー・キャラクターや場所や物品に対し、個人的な関わりがあったことになります。敵の首領が実はかつての恋人だったとか、敵の支配する街が自分の故郷だとか、敵の持っている物品が自分の発明品だった、等です。

●自己犠牲(1枚)

 シナリオの中で破滅的な事態が起こってあらゆる試みが失敗したとき、このカードを使えば、キャラクターは自分の命を犠牲にすることで事態を解決することができます。

●正体(1枚)

 仲間がそのキャラクターとノンプレイヤー・キャラクターとの関係に気付いてないとか、重要な人物の正体に、そのキャラクターだけが気づいているなど、キャラクターの事情に他のキャラクターが気付いていない状況を発生させるカードです。また、自分の隠された正体が分かるという状況も考えられます。

●人物誤認(1枚)

 キャラクターが他の人物と間違えられます。間違えられた人物によってさまざまな状況が起こるでしょう。犯罪者に間違えられれば追っ手がかかりますし、有名人に間違えられれば、やっかいごとに巻き込まれる可能性もあります。

●ロマンス(2枚)

 キャラクターはノンプレイヤー・キャラクターと恋に落ちます。相思相愛でも片思いでも、ロクでもない相手に一方的に惚れられるのも含まれます。サイドストーリーカードの中で、『ロマンス』カードだけが2枚あるは、三角関係を生み出すためです。

カードの交換

 ドラマカードはお互いのプレイヤーが同意するなら、いつでも交換することができます。通常シーンなら手札と手札を、戦闘シーンなら場札と場札を交換することができます。ただし、カードを交換をするには、それにふさわしいロールプレイが必要で、ロールプレイができなければその交換は却下されます。

見せ場宣言

 キャラクターは一幕に1回だけ、『見せ場宣言』をすることができます。この宣言がされると、キャラクターは自分の手札を何枚でも場札にし、一度に使用できるようになるのです。ただし、『見せ場宣言』で場札にしたカードはそのラウンドのうちに使わねばならず、宣言したラウンドが終わった時点で捨て札になってしまいます。

プレイの実際

 それでは、カードの使い方をリプレイ形式で読んでもらいましょう。

    アンナ     :コアアースのリポーター
    ジョン     :コアアースの傭兵
    ウィリアムズ軍曹:オーロシュのヴィクトリア軍人
    ワイヤー    :サーコルドの兵士

■シーン1■

 ストームナイトたちはロスアンジェルスで起こった殺人事件を調査しています。調査の末、ダウンタウンの木賃宿に怪しげな風体の男がいることを突き止めた4人は、木賃宿に乗り込みますが、すでにそこはもぬけの空でした。

GM:全員〈発見〉ロールね。難易度は15。

アンナ:ありゃあ、11。

ウィリアムズ軍曹:ぬぅ、1!「むぅ、こんなところに怪しい小部屋が……」

ワイヤー:オレも駄目だ。「軍曹、何をしている、そこはトイレだぞ……」

ジョン:13か、ここは『ひらめき』を使っておこう。+3して16、成功だ。

GM:OK、ジョン、君は机の引出しの中から……

■シーン2■

 机の引出しの中からコアアースの技術では作ることのできないパームコンピュータを見つけた4人は、内蔵メモリに保存されているデータを開こうとしますが、プロテクトを外すことができません。4人は途方に暮れます。

アンナ:仕方ないわね、『知人』を使うわ。

GM:ほい、じゃあ君はこのロスアンジェルスにあるコンピュータ会社のエンジニアに知り合いがいたことを思い出す。

アンナ:「あ、そういえば……」

■シーン3■

 夜も遅かったので、4人はエンジニアの自宅に向かいます。ビバリーヒルズの外れの閑静な住宅街に彼の家はあるのですが、もう夜の8時だというのに家には明かりひとつ点いていません。

ワイヤー:マスター、『警戒』カードを出しておくぞ。

GM:うむ、じゃあ、君はエンジニアの家に犬小屋があるのに犬がいないことに気づいた。さらにその犬小屋には鎖が半ば引きちぎられたような状態で残っていることにも。

ウィリアムズ軍曹:「どうした? 目的の屋敷はあれであろう?」

ワイヤー:「待て軍曹、うかつに近づくんじゃない。まったく、やれやれだな……」

■シーン4■

 エンジニアの家はすでに敵の一団に占拠されていました。その正体はこのロスアンジェルスにレルムを築こうとするサーコルドのテクノデーモンでした。4人はデーモンと激しい戦いを繰り広げます。

GM:では、第4ラウンド。イニシアティブは、「悪役先攻:高揚/ヒーロー後攻:−/推奨行動は〈防御〉と〈威圧〉」

ワイヤー:ちっ、マズいな。

ウィリアムズ軍曹:ぬぅ!今こそこのカードの出番であーる!『イニシアティブ掌握』であーる!サセラムの加護と思えい!

GM:では、引きなおして……「悪役先攻:−/ヒーロー後攻:活力/推奨行動は〈攻撃〉と〈防御〉」か、活力出たので全員ショックダメージ全快ね。でも、デーモンの先攻は変わらずと。では、テクノデーモンの攻撃……

■シーン5■

 激しい戦いの末にテクノデーモンは1体を残して倒れました。しかも、そのデーモンもポシビリティが0になった上に「軽傷」状態です。しかし、あと一歩というところで、ストームナイトたちもアンナを残して3人が戦線離脱となります。

ワイヤー:くそっ、だめだ、あと一歩というところでリンク切断とは……。

ジョン:オレもあと1点もショックダメージを受ければ気絶しちまうぜ。

ウィリアムズ軍曹:我輩の高貴なるヴィクトリア製ボルトアクションライフルも弾切れだわい。

アンナ:ということは……

ワイヤー:そう、お前しかいない。

アンナ:ええ〜〜〜!!

ウィリアムズ軍曹:貴様ら、アンナ殿にカードを集中させるぞ。「高貴なるレディにはセスラムが力を貸してくださる」と言って『ドラマ』カードを交換するぞい。

ジョン:「『馬鹿の火事場力』ってやつを見せてやれ」と『アドレナリン』と『アクション』を交換してやろう。

アンナ:だ、誰が馬鹿よっ!

ワイヤー:「勝利とは、生き残ることだ。自分の力のすべてを出し尽くして戦え!」と『ヒーロー』と『だめ押し』を交換するぞ。

アンナ:ええい、ままよっ! 唯一持ってる接近戦武器のコンバットナイフを構えるわ!

GM:テクノデーモンは君のその姿を見て、馬鹿にしたような顔をして舌なめずりをする。明らかにナメてかかっているな。

アンナ:ここは『見せ場宣言』よっ。手札を全部場札にしてから切りかかるわ。「行くわよっ! ふんや−っ!」

ジョン:なんだその気の抜ける声はーっ!

GM:デーモンの〈白兵戦〉は19です。

アンナ:私の〈白兵戦〉基本値は10。ダイスは……10で振り足しの目は18!(10+18=28)よーし、いい感じね♪
 じゃ、まずポシビリティで……さらに14!(28+14=42)
 次に交換したカードの出番よ。まず『ヒーロー』で……7ぁ? 最低10としてぇ……(42+10=52)
 次は『ドラマ』よっ……おーし、17!(52+17=69) ロールの合計は69だから、ボーナスは+17!
 さーて、ここで『アクション』使って、最終的な〈白兵戦〉達成値は10+17+3で30! どーだっ!

GM:はいはい、命中命中。

アンナ:次にダメージね。ナイフのダメージ基本値13にボーナスの+17、そして『アドレナリン』で≪筋力≫を+3して、『だめ押し』でさらに+3して36! どーだ!?

GM:デーモンのアーマー基本値は21だから、15差ってことは「3レベル負傷・KO・ショックダメージ5」だね。というわけで、デーモンは死亡! アンナのナイフはテクノデーモンの懐深く食い込み、主要な器官を切り裂いてデーモンの息の根を止めた。テクノデーモンは驚愕の表情を顔に貼り付けたまま、ゆっくりとその巨体を地面に倒れこませる。ズシン!

ワイヤー:終わった……か。

ジョン:ふぅ〜〜。

ウィリアムズ軍曹:うむ、最後に勝つのはやはり高貴なヴィクトリア魂である。

アンナ:つ、つかれた〜……。

戦闘の『演出』

 このように、トーグの戦闘はちまちまと少ないダメージを与えても勝つことはできません。

 特に、シナリオのボスであるストーマーはポシビリティによる振り足しを行ってきますし、それでなくとも〈回避〉や〈白兵戦〉技能基本値が高いため、攻撃が当たらない場合が多いのです。

 そういう時はどうしたらいいのでしょう? そう、相手の技能値を下げるか、自分の達成値を上げればいいのです。

 〈間合い〉や〈挑発〉などを成功させて、相手を『技能なし』や『萎縮』状態に持ち込めば、敵の技能基本値は大幅に下がります。その上、その行動が推奨行動なら手札を得ることもでき、手札を場札にすることもできます。まさに一石三鳥なのです。そうしてカードを場札にしていき、溜まったところで一気に使う。また、ここでポシビリティを使えば、さらに大きなボーナスを得ることでしょう。

 トーグにおける戦闘は常にヒロイックなものです。普通のRPGのように、「相手のHPを削っていく」戦法では絶対に勝つことはできません。格好良いセリフや行動でカードを溜め、一瞬の好機を狙って渾身の一撃を放つ。また、数で圧倒的に上回る軍団を倒す。このような戦い方ができるのがトーグの醍醐味であり、他のRPGにはない壮快感だと思います。映画のようなドラマティックでダイナミックな戦聞を自分で演出できる。これがトーグの醍醐味であり、面白さなのです。